概要
近年、新卒で入社してから3年未満での転職が増加しています。今回は、株式会社プロフェッショナルバンクのHR研究所が行った調査を基に、新卒入社3年未満の転職に関する意識と実態を探ります。
調査の背景
調査は30歳から34歳の正社員を対象に、転職経験の有無による意識やキャリアの違いを浮き彫りにすることを目的として行われました。なお、調査結果は多くの若手社員が抱える「3年は我慢すべき」という古い価値観と現代のトレンドとのギャップを反映しています。
調査結果の概観
- - 転職経験者は約90%が「転職して良かった」と回答
- - 転職未経験者は現職に満足しているが、転職に対する不安を感じている
- - 転職理由は「給与」「労働時間」「休日」などの待遇面が主な要因
このように、調査対象者の中で転職についての評価は二極化しています。特に、転職経験者はキャリアの満足度が高い一方で、未経験者は「転職活動が面倒」「リスクがある」という意識が強いことが見受けられました。以下、各ポイントを詳しく見ていきます。
1. 年収における状況
調査によると、新卒で入社し3年未満で転職した経験がある層とない層では年収に大きな差は見られません。しかし、転職未経験者の方がわずかに高年収帯にいることが確認されました。この結果は、転職により年収が増加した人が多い一方で、その他の要因から高年収を得ている人も多いことを示しています。
2. 管理職の比率
転職経験のある層がより多くの管理職に昇進していることも注目すべき点です。転職経験者の約6.3%が部長クラス以上の役職に就いている一方、未経験者は0.9%に留まりました。職場を変えることで新たなチャンスが得られる可能性が高まることが示唆されています。
3. キャリア満足度
現在のキャリア満足度について聞いたところ、62.9%の転職経験者が何らかの形で満足を感じていると答えました。これに対し、転職未経験者も高い数字を示しているものの、若干の差が見られる結果となりました。特に「大変満足している」という回答は、転職経験者の方が多く、その理由として、転職によって自分の適性にあった環境に移行できたことが挙げられます。
4. 転職に関する意識
転職未経験者の間で最も多かった転職への意識は、「不安やリスク」というものでした。しかし中には、成長や昇進の機会を求めている人もおり、確実に全ての未経験者が転職を否定的に考えているわけではないことがわかりました。また、半数以上の人が転職に対して消極的であるという現状も確認されました。
5. 転職理由とその後の成果
転職経験者へ転職理由を問うたところ、給与が低い、労働時間が長いなどの待遇面が多く挙がりました。恩恵を受けた結果としては「働きやすさの向上」や「年収増加」が大きく報告され、これらは今後の自らのキャリアに肯定的な影響をもたらしていることがうかがえます。
まとめ
調査結果から、新卒3年未満の転職に対する意識の変化やキャリア形成の傾向が明らかになりました。若手社員が自身のキャリアを真剣に考える基盤ができた今、企業側も転職希望者のニーズに応じた魅力的な環境の提供が求められる時代が来ていると言えるでしょう。今後、転職がより前向きに捉えられ、効果的なキャリア形成に繋がることを期待したいです。