医療的ケア児を支える「COCOON西田中EAST」
宮城県仙台市に位置する「COCOON西田中EAST」は、社会福祉法人あいの実が設立した医療的ケア児のための短期入所施設であり、最近、建築界で栄えあるダブル受賞を達成しました。この施設は、一般社団法人日本建築学会による『AIJ建築年鑑 作品選集2025』に掲載され、さらに第45回東北建築賞特別賞を受賞するという快挙を成し遂げています。
施設の特徴と設計
「COCOON西田中EAST」は、障がいを持つ子どもたちが安心して生活できる場を提供することを主な目的としています。機能的なゾーニングが特徴であり、重症心身障害児者のみならず、そのご家族が共に滞在し、交流できる空間設計が施されています。中庭型の平屋建てという構造で、外からの光が差し込む心地よい環境を作り出しています。
この施設は、木造の構造を採用し、快適さや安心感を重視した設計がされています。特に、木毛セメント板や開放的な風除室を使用することで、心の安らぎを感じることができる構造となっています。環境面にも配慮し、施設周辺には地域の植生を移植して豊かな緑を確保しており、心身の安定を図れる場を提供しています。
受賞理由とその成果
「COCOON西田中EAST」が受賞した理由としては、機能分化と融合という相反する課題に対して柔軟に応えたことや、利用者からのニーズを反映した設計が評価されました。特に、既存の障がい者施設で見られる閉鎖的なイメージから脱却し、明るく開かれた空間を創出した点が高く評価されています。
また、施主である社会福祉法人あいの実と設計を担当した都市建築設計集団UAPPとの密な協力関係も成功を支えています。設計者は、利用者やその家族、スタッフの実際のニーズを把握し、模型を用いた検討を通じて、合意形成を実現させました。これにより、特に緩衝空間であるカフェやウッドデッキなどが設けられ、地域との交流の場としています。
未来に向けた展望
「COCOON西田中EAST」は、医療的ケアが必要な子どもたちやその家族にとって特別な空間であるだけでなく、今後の地域福祉施設のモデルケースとなる可能性があります。これまでの医療と福祉が交差する場を越え、生活共生型施設としての新たな未来を示しています。2023年のグッドデザイン賞に続く今回の受賞は、施設の在り方や設計が再評価された結果であり、全国各地の医療的ケア児を対象とした施設整備における指針となると考えられています。
まとめ
このように、「COCOON西田中EAST」は建築界において確かな地位を築いており、医療的ケアが必要な子どもたちやその支援者にとって重要な役割を果たしています。今後も地域への貢献と福祉施設の新たなモデルを示し続けることが期待されているでしょう。興味のある方は、施設の視察や情報収集をぜひ行ってみてください。