新たな周産期支援サービスの幕開け
宮城県仙台市に拠点を置く株式会社ピースコネクトが、県内初となる周産期支援サービスを訪問看護ステーションピースコネクトで開始しました。このサービスは、低出生体重児や医療的ケア児への支援を継続しつつ、妊娠中から産後までの女性を包括的にサポートすることを目的としています。
サービスの背景
従来、訪問看護では低出生体重児や多胎児、医療的ケアが必要な子どもへの支援が中心でした。しかし、これらの支援を通じて、特に母親に対するケアの必要性が高いことが次第に明らかになってきました。日本産婦人科医会が発表したデータによると、産後の女性の10〜15%が産後うつを経験する可能性があるとされています。これに伴い、妊娠中からのサポート体制の確立が求められています。妊娠中の身体的な症状や精神的な不安も、特に妊娠悪阻が重篤な場合は、日常生活や育児にも影響を及ぼします。
このため、ピースコネクトでは、精神面・身体面・生活面にわたって、妊娠中から産後まで一貫したケアを提供する周産期支援サービスを導入しました。これにより、悩みや不安を抱える母親を支え、より健やかな妊娠・出産を支援することができるようになります。
提供するケア内容
周産期支援サービスでは、医師の指示書をもとに、経験豊富な助産師が訪問し、個々の母子の状態に応じたケアを行います。例えば、妊娠期間中の悪阻には在宅での点滴治療や栄養のアドバイスを提供します。さらに、産後のトラブルとして多く挙げられる乳腺炎に対しては、専門的な知識を用いて早期発見と治療を行います。また必要に応じて胎児の健康状態を確認するために心拍モニタリングを行なったり、精神面の不調がある方にはクライシスプランを策定し、精神的な安定を図る支援も行います。
このサービスの最大の特徴は、医療保険の適用が可能であるため、経済的な負担が軽減される点です。訪問は宮城県内全域を対象としており、交通費も無料です。サービスの申し込みは利用者本人からだけでなく、医療機関や地域の行政機関からも可能です。
担当助産師のご紹介
訪問看護ステーションで周産期に特化したケアを行うのは、アドバンス助産師の佐藤望さんです。佐藤さんは2003年に岩手大学を卒業し、看護師・保健師・助産師免許を取得。その後、宮城県内の産婦人科病院で22年以上にわたり、多くの妊産婦や女性のケアに携わってきました。佐藤さんは、妊娠・出産・育児という大きなライフイベントでの不安を軽減し、一人ひとりに寄り添った柔軟な支援を提供することを目指しています。
彼女のモットーは「対話はケアになる」。この言葉のもと、医療的ケアに留まらず、感情面でのサポートも重視しています。「訪問看護を通じて、利用者様が安心してほっと一息つける時間を提供していきたい」と佐藤さんは話します。
未来に向けての取り組み
訪問看護ステーションピースコネクトが提供する周産期支援サービスは、地域に密着し、必要な人に必要な支援を届けることを目指しています。病院でのサポートが終わってしまうと、必要なケアが受けられなくなる方々に対して、訪問看護という選択肢を知ってもらうことは非常に重要です。妊娠中や産後の不安を抱える全ての女性が、自らSOSを出せる環境づくりに貢献していきます。皆さん自身が一人で抱え込むことなく、ぜひ私たちを頼っていただければと思います。私たちの使命は、地域医療と子育て文化の発展に寄与し、安心できる未来を築くことです。