持続可能な観光の未来とは?
近年注目を集める「サステナブルツーリズム」という概念が、観光業界や旅行者の間でどのように受け止められ、実現に向けた取り組みが進められているのかを、JARTA(一般社団法人日本サステナブル・ツーリズム協会)の代表理事である高山傑氏と、ツーリストシップおよびサステナブル・ライフスタイル協会の代表理事である田中千恵子氏、山口真奈美氏が語ります。ここでは、その内容を整理し、どのように地域と旅行者が協力し合って持続可能な観光を実現していくかを考察します。
観光業の課題:グリーンウォッシュと実行可能な認証基準
旅行業界において、「エコ」や「サステナブル」といったワードが無責任に使用されるケースが問題視されています。この現象は「グリーンウォッシュ」と呼ばれ、実際の取り組みとの乖離があるため、消費者に誤解を招く恐れがあります。アカウンタビリティを高めるためには、トラベライフやグリーンキーといった国際的な認証基準の導入が必須です。
これにより、環境負荷を軽減しつつ、経営面でもメリットを享受できる実行可能な方針が築けるでしょう。企業が自発的に取り組むだけでなく、客観的な評価が求められる時代に突入しています。
旅行者の意識変革とツーリストシップ
旅行者自身が自らの行動が地域に与える影響を忘れがちなのは、大きな問題です。オーバーツーリズムやマナーの乱れが社会問題化する中、「ツーリストシップ」という考え方が重要視されています。これは単なる観光地の消費にとどまらず、地域の文化や人々に配慮しつつ、共存と交流を楽しむ姿勢を求める概念です。
旅行者は、地域の一員として自覚を持ち、自らの行動が風景や暮らしをどのように変えるかを意識する必要があります。それが結果的に、双方にとって有意義な旅行体験に繋がります。
地域の維持:外資資本の一極集中とDNAの保護
観光業が経済的な成果を過度に追求してしまうあまり、特定の外資系企業が地域資源を搾取する事例も増えています。地域独自の文化や歴史を無視した一律な観光地開発は、地域住民にとっての「生活環境」を壊してしまうリスクがあります。そのため、観光の主役は常に地域住民であることを忘れてはいけません。
地域の「DNA」を守るためには、住民の声に耳を傾け、その希望を尊重した観光地づくりが求められています。観光業は地域の価値を引き出す手段として扱うべきで、短期的な利益ではなく、長期的な視点が大切であると強調されました。
次世代への教育と三位一体の連携
若い世代がSDGs(持続可能な開発目標)に触れる機会が増えてはいるものの、観光を支える大人世代の価値観の変革が急務です。観光は単なるビジネスにとどまらず、地域の生活者、事業者、旅行者がつながり、次世代へと豊かな文化や経験を引き継ぐための重要な手段です。
このような観点から、サステナブルな観光を構築していくために、地域、事業者、旅行者が一体となって行動し、責任を持つことが求められています。旅行はただの消費行動にすぎないとは限らず、地域社会や私たち自身の意識も変えていく力を持っています。
知見を深めるためにも、行われたトークセッションの動画をご覧になることをおすすめします。次世代に向けた持続可能な観光のあり方を、一緒に考えていきましょう。
登壇者プロフィール
- - 高山傑: 一般社団法人JARTA代表理事。持続可能な観光と国際認証の普及を担当。
- - 田中千恵子: 一般社団法人ツーリストシップ代表理事。旅行者のマナー向上に注力。
- - 山口真奈美: 一般社団法人サステナブル・ライフスタイル協会代表理事。持続可能なライフスタイルの啓発活動を推進。