血液学の最前線を引っ張る張替秀郎氏の挑戦と功績

医療業界の新たな潮流を反映する『DOCTOR'S MAGAZINE』10月号が発刊され、特に注目を集める特集が血液内科のエキスパート、張替秀郎氏に焦点を当てたものである。彼は東北大学の理事にして病院長であり、血液学界でも第一人者とされる。

張替氏は茨城県土浦市で生まれ、幼少期から生物や人への興味が強かったとされる。特に、祖母の死が彼の医師を志すきっかけとなった。東北大学を卒業後、研修先に水府病院を選び、ここでの経験が彼を血液内科の道へと導いた。指導医の渡邉則道氏との出会いや、悪性リンパ腫の患者との交わりは、彼の医療人としての基盤を形成した。

研修後は、東北大学病院で臨床に従事しながら、全国各地で診療支援のアルバイトを行った。東京から埼玉まで、幅広いエリアをカバーし、診療と実験に励む日々を過ごした。なかでも特筆すべきは、肥満細胞のGATA−2因子に関する研究であり、これにもかかわらず、当時の治療法開発には多くの困難があった。この研究のため渡米したものの、実験がうまくいかず、悔しさを抱え帰国を余儀なくされた。

帰国後の1998年、再び東北大学に腰を据え、血液診療と検査業務に身を投じる。臨床検査専門医としての資格を取得した張替氏は、その後、病院の血液・免疫科を率いることとなる。毎年500人以上の新入院患者を受け入れ、30例以上の移植も手掛けるようになるなど、その業績は目覚ましいものがある。

また、彼のもとでのチーム医療も注目に値する。臨床心理士やリハビリ医、歯科医まで取り入れた包括的な医療体制を構築し、患者一人ひとりに寄り添った治療を実践している。特に鉄芽球性貧血の研究では、過去の失敗を糧に、 vitroでの疾患モデルの再現に成功。2023年には東北大学病院長として新たなステージに立った。

彼のリーダーシップのもと、東北大学は国際卓越研究大学認定第1号を獲得。臨床医が研究に専念できるよう整備を進め、「SiRIUS医学イノベーション研究所」を立ち上げるなど、病院としての次なる目標も掲げている。医療の枠を超え、生命の根源である血球の研究に日々取り組み、血液学界の未来を形作っていく張替氏の姿勢は、医療従事者として多くの人々にインスピレーションを与える。

さらに、今号では「Challenger -挑戦者-」として、ケロイド治療のスペシャリスト小川令氏が特集されており、新たな治療概念「メカノセラピー」にも光が当てられている。また、泉大津医療構想など地域医療の再編に関する特集も展開されており、懸命に医療に向き合う専門家たちの姿が描かれている。

このように、10月号の『DOCTOR'S MAGAZINE』は、医療の現場で日々挑戦し続ける医師たちの物語を通して、医療界の新たな展望を示唆している。ぜひ手に取って、この貴重な情報を深く学んでみてはいかがだろうか。