睡眠健康経営の重要性を再認識!産業医と企業が連携する未来
2023年5月17日、仙台の東北大学百周年記念会館で開催された「第98回日本産業衛生学会」ランチョンセミナーでは、産業医と企業が共に取り組む『睡眠健康経営』が注目を浴びました。産業医科大学の浜口伝博教授の進行のもと、約400人の参加者が集まり、睡眠が健康経営に与える影響について深く議論されました。
セミナーの内容と議論の概要
セミナーでは、石田陽子氏(株式会社心陽CEO)が「眠るほど、ぐんぐん仕事がうまくいく」と題して、睡眠と企業業績の関係をテーマに講演しました。睡眠マネジメントの重要性と実際の施策を具体的に紹介しました。
その後、西川八一行氏(西川株式会社 代表取締役会長CEO)が、睡眠の質が生産性に与える影響について講演しました。西川氏は、自社が設立した日本睡眠科学研究所による研究データを基に、睡眠不足が認知機能に及ぼす影響を詳しく説明し、特に働き盛り世代の睡眠の質が低下している現状を指摘しました。
「平均6時間以下の睡眠を2週間続けると、従業員の認知機能が大きく低下してしまう」というデータは、多くの参加者に衝撃を与えました。これにより、企業は従業員の健康を守るために、睡眠の改善に取り組む必要性があるとの意見が強まっていきました。
睡眠データとビジネスの未来
nishikawaは、企業向けに「睡眠改善プログラム」を導入しています。このプログラムでは、企業の健康経営を支援するために、従業員の睡眠データを収集・分析し、個別の睡眠改善施策を提供します。この取り組みは企業全体の価値向上にも寄与し、従業員の生産性をアップさせる効果があります。
さらに、伊藤忠商事株式会社との共同研究を通じて、プログラムの効果を確認する試みにも取り組んでいます。実際にプログラムに参加した従業員の中から、睡眠に課題があったことが判明し、さらに医療機関への受診につなげる仕組みが築かれています。積極的に対応することで、受診率が大幅に向上したとの結果が出ています。
参加者からの反響と今後の展望
セミナー終了後には、参加者から「睡眠に焦点を当てた健康経営の取り組みを積極的に取り入れたい」という声が多く寄せられました。また、具体的なアプローチ方法についての質問も相次ぎ、その結果、健康経営における睡眠の重要性が再確認されました。実際に参加者の72.2%が講演内容に「大変参考になった」と答え、経営層からの理解促進の重要性が浮き彫りになりました。
結論
今回のセミナーを通じて、睡眠健康経営が企業の持続可能な成長に寄与することが再認識されました。企業は従業員の健康を重視し、質の高い睡眠が確保される環境作りに注力する必要があります。産業医と協働し、実行可能な健康施策を構築することで、企業の生産性向上に繋がるだけでなく、従業員の満足度もきっと向上するはずです。睡眠がもたらす変化を、今後の企業戦略にぜひ活かしていきたいものです。