ニューロジカと東北大学が取り組む革新的なAI研究
日本の医療現場において、重症患者の痛みの評価は長年の課題です。患者が自らの痛みを伝えることが困難な中、痛みを正確に把握することは、治療成績や患者の生活に直結します。そんな中、株式会社ニューロジカ(代表:ピーク エイダン ゼファー)が東北大学と共同で研究を開始したのが、ICU(集中治療室)における生体データを基にした「疼痛予測AIモデル」です。このプロジェクトは、2025年7月からの開始を予定しています。
研究の背景
多くの重症患者がICUに入室している現状において、医療従事者が各患者の痛みを把握するのは容易ではありません。安静時にも強い痛みを感じる患者も多く、その痛みが治療に悪影響を及ぼすことがあります。このような状況下で、正確に痛みを評価する手法が求められています。
本研究の基盤となるのは、2018年から日立ソリューションズ東日本が始めた疼痛推定技術の開発です。ニューロジカはこの知見を活かしつつ、東北大学と連携して改革を進めています。
新しい痛みの評価方法
従来の疼痛評価は、医療従事者の観察に基づくため、評価が断続的でばらつきが生じやすいものでした。しかし、新たに目指すのは、人的評価を排除し、生体データのみを用いて痛みを連続的かつ客観的に評価することです。これにより、患者が自ら意志を伝えられない状況でも、正確な痛みの把握が可能になると考えられています。
このAIモデルは、ICUの医療機器から自動的に生体データを収集し、痛みを測定する新たな指標を提供します。従来の方法では得られなかった連続的で客観的な評価が実現することで、患者はより適切で迅速な治療を受けられることが期待されます。
医療現場への影響
この技術の実装により、医療従事者は客観データに基づく迅速な意思決定が可能になり、評価業務の負担が軽減されるでしょう。結果的には、質の高いケアに集中できる環境が整うとともに、入院期間の短縮や合併症の予防にも寄与することが期待されます。
今後の展望
ニューロジカと東北大学は、得られた知見をもとにAIモデルの精度向上と実臨床における実証実験を継続します。将来的には、この疼痛推定技術を一般病棟や在宅医療、さらには意思表示が難しい高齢者や子どものケアにも広げる計画です。同社は「研究技術を社会実装する」ことをミッションに掲げており、この共同研究を通じて医療の質向上に貢献する意向を示しています。
会社概要
- - 社名: 株式会社ニューロジカ
- - 所在地: 東京都渋谷区神泉町10-15
- - 代表者: ピーク エイダン ゼファー
- - 事業内容: AIモデル開発 (マルチモーダル・時系列予測)、AI/システム企業向け技術顧問
- - URL: ニューロジカ公式サイト
この共同研究が、医療の現場での痛みの評価方法を変革し、より多くの患者に寄り添った医療を提供する契機となることを期待しています。